講座 ハンドリング・第1回【新連載】
ハンドリングの意義—対象児・者に寄り添うためのハンドリング
岸本 光夫
Mitsuo Kishimoto
pp.66-70
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200461
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はじめに
作業療法は,対象者の心身機能の障害を改善・軽減するのみでなく,対象者を「生活者」=「生活する主体」としてとらえ,その生活障害の改善を図り,本人がより満足できる生活を構築(再編)していけるよう,さまざまな治療・援助を行う仕事である.この中でOTは,NICUの新生児から終末期の患者まで幅広く対象児・者の体に直接触れて援助することも多くある.しかし日々われわれが何気なく対象児・者の体に触れていることが,いったいどのような影響を与えているのかということは,OT自身自覚されないままでいることも多いのではないかと感じている.近年,OTの卒前あるいは卒後教育においても,直接触れ合って技術研修する機会が少なくなってきている現状において,本講座が自分たちの「ハンドリング」をしっかりと吟味していく一つの契機になれば幸いである.筆者が時折仲間たちと実施している勉強会においても,ハンドリング=マニアックな治療手技ととらえられてしまうことがあるが,作業療法においては,対象児・者に寄り添うための技術と広く解釈してほしい.
この講座では計3回にわたり,ハンドリングの意義(第1回),さまざまな作業活動を支援する実際的な活用(第2回),ハンドリングの技術研修の方法(第3回)について解説していきたい.
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