連載 手のリハビリテーション・特別編
からすスプリントをつくる
田口 真哉
1
,
神宮 梨恵
1
,
矢﨑 潔
Shinya Taguchi
1
,
Rie Jingu
1
,
Kiyoshi Yasaki
1丸の内病院
pp.278-280
発行日 2019年3月15日
Published Date 2019/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201635
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はじめに
“からすスプリント”はPIP関節の屈曲拘縮改善のために考案されたスプリントである(図 1).からすスプリントは筆者の勤務地である長野県松本市にて誕生した.からすスプリントという名称は,松本市に国宝松本城があり,松本城は別名漆黒の「烏城(からすじょう)」とも呼ばれていることに由来している.さらに烏はとても賢い鳥であり,からすスプリントもワイヤーの周径によって幅広い疾患に対応できる賢いスプリントであるという想いを込めて名づけた.
からすスプリントは,材料費が350円以下と安価であり,特別な工具も必要とせず,製作時間も短く(15〜20分),つくりやすい.さらに,患者にとっても手軽に装着でき,治療的効果も高い.また屈曲拘縮のみではなく,牽引力を変えることによって筋力の欠落(伸展不全)にも対応できる.
からすスプリントは,Capenerのワイヤー式PIP関節伸展補助スプリント(以下,Capenerスプリント)に類似した手指のPIP関節用スプリントであり,Capenerスプリントのワイヤー部分を形状記憶合金の鋼線(以下,SMA鋼線)に置き換えたものと考えると理解しやすい.また,図 1に示したスプリントの完成をイメージして作製することをお勧めする.
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