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Key Questions
Q1:大規模災害後,地元職員のメンタルヘルスへの対応は?
Q2:大規模災害時における受け入れ側のボランティアへ期待するものとは?
Q3:大規模災害後に,市民を対象としてOTがもつ可能性とは?
はじめに
「ねぇ,福島にも仮設住宅ってあるの?」
宮城県や岩手県の被災地にボランティアで何度も足を運んでいる関東在住の知人から質問を受けた.東日本大震災(以下,震災)後,福島で活動を続けている筆者は,震災から4年が過ぎ,「被災地のことを忘れないでほしい」,「中長期の復興支援に必要なものはお金や物資の支援ではなく,応援メッセージを送ったり,観光先として来訪してもらうことが重要で,コミュニケーションが有効なツールなのでは?」という考えが強くなっていた矢先のことだった.先述した知人に,旧警戒区域(図1)1)〔福島第一原子力発電所(以下,第一原発)を中心とした半径20Km圏〕内に在住していた7万8,000人,計画的避難区域の飯舘村等の村民6,200人を超える方々は避難を余儀なくされ,現在註)も自宅に居住する許可が出ていない旨を説明すると,「警戒区域ってそういう意味だったの?」と驚かれた.東北の被災地に関心のある人でも「福島のことを忘れる」のではなく,「福島の現状を理解していなかった」ことに大きな衝撃を受け愕然とした.
現在,福島は大混乱していた時期から徐々に落ち着きを取り戻しつつあるが,支援が必要なくなったレベルではない,と感じている.本稿では,2012年(平成24年)2月から仮設住宅訪問やサロン活動,乳幼児健診等,南相馬市内在住の方々と接し続けてみえてきたことや,見落とされがちな職員のメンタルヘルスに関することも交えながら述べたい.
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