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Key Questions
Q1:まちづくりとは?
Q2:災害時の備えは?
Q3:OTの役割は?
はじめに
被災地区の「まちづくり」については,国家レベルでは復興庁が設置され,まさに,産業,社会保障,インフラ整備等々,さまざまな支援が行われている.しかし,年2回ほど訪問している気仙沼,南相馬,宮古の現状をみると,生活基盤となる「まち」の整備がいまだに進んでおらず,「まちづくり」を述べるには情報も少ない.
生活という視点に立つと,人は一人では生きていけないし,また,人は作業なしでは生きていけない.作業を行うことで,自分らしさを確認し,生きる糧を得,役割や価値,自己と他者等,社会人として個人としての存在を自覚できる.「まち」の機能はそれを保障することに他ならない.その中でのOTの役割は,「作業」の保障に尽きる.東日本大震災後の「まちづくり」においてもこの理念は変わらないと思う.
役職柄,3月11日の国の追悼式に毎年出席している.今年は国立劇場で執り行われたが,2度とこのような災害が起こらなければいいと心から思う.追悼式での宮城県遺族代表の「言葉」はマスコミでも取り上げられ,さまざまな波紋があったと聞く.その話は本当に切なく,そのときの彼女の思いを考えると涙なしには聞けなかった.「頑張って」は月並みな言葉であるが,それ以上の言葉も浮かばず,ただ,「頑張って」と願っていた.被災された方々は,軽重の差はあれ,皆なにかしら心に傷をもちながらの生活を送られていることと思う.表面に出された言葉だけでなく,そこまでに至った心情を汲み,物言わぬ方々の思いも皆で抱え,一緒に歩めたらと思う.
本特集は復興に向けての提案であり,その中で本稿では,病院,施設の作業療法を生活行為向上マネジメント(以下,MTDLP)に基づく,生活支援を通しての「まちづくり」の考え方を提案する.また,阪神・淡路大震災の震災直後から現在までの神戸の様子を紹介しながら,防災と各ステージでのOTの役割について述べる.
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