Japanese
English
特集 精神薄弱
脳発育とその化学的構成
Biochemical Make-up of the Brain during Development
松谷 天星丸
1,2
,
塚田 裕三
3
Tenhoshimaru Matsutani
1,2
,
Yasuzo Tsukada
3
1脳性麻痺研究所
2東邦大学医学部第二生理
3慶応大学医学部生理
1Research Institute for the Cerebral Palsy
22nd Department of Physiology, School of Medicine, Toho University
3Department of physiology, School of Medicine, Keio University
pp.21-35
発行日 1968年4月25日
Published Date 1968/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904479
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I.まえがき
脳の営む高次の機能と,これを支える生化学的背景との関連については現在未開の分野が多々残されている。また一方最近脳性小児麻痺や精神薄弱などの病因追及という課題が提起されてきているが,これらの障害の大半が胎児期,出生時または新生児期に脳がうけた侵襲にその原因を持つことは周知のところである。そこでPrenatal,neonatal,postnatalを通じて脳の発育に伴う物質の分布の変化や酵素系の出現などから発育過程にある脳を生化学的に追及し,加えられた侵害に対する感受性の差異についても研究を進めることは,これらの問題を解決してゆくうえに重要な手がかりを与えるものである。
脳の生化学的発育の過程を追求する場合,他の体細胞におけると同様脳細胞の成長を支える種々の物質や代謝系の変化と,これに加えて脳機能との関連において,脳に特有な物質の発現という面から考えることができる。また系統発生的にみた進化の過程が個体発生のうえでの変化と如何なる関連性を有するかを追求することも興味あるところであり,このような研究を通じて脳の機能発現とそれを支える化学過程との関係が明らかにされることが予想される。
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