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Key Questions
Q1:緩和ケアにおける作業療法とは?
Q2:緩和ケアチームにおけるOTの役割とは?
Q3:終末期に作業療法を行う意味とは?
はじめに
日本における死亡者数を原因疾患別にみてみると,がんによる死者数は年間約37万人で死亡者総数の28.7%を占めており,昨今は3人に1人はがんで亡くなる時代であるといえる1).しかし近年,がん医療の診断技術や治療法の発展により,がん患者の生存率は向上し,がん患者は臓器障害およびがん治療に伴う副作用や後遺症による日常生活の支障を抱えながら,がんと共に生活を送ることも多くなっている.がん治療は,診断から終末期を迎えるまでの期間が長期にわたり,その中で患者はさまざまな喪失体験を繰り返すため,身体的のみならず全人的な支援が必要となる.がんと共に充実した生活を送ることが本人および社会から求められる中,作業療法は日常生活活動(activities of daily living:ADL)の支援という面で,がん医療において非常に重要な役割を担っている.さらに緩和ケアを受け,終末期を迎える患者のさまざまなneedsやdemandsに対応していくことが求められるようにもなっている.がん終末期では,ADLのみならず生命,生活,人生の質(quality of life:QOL)に視点を向けることが大切であり,がん患者にとってどのように生き,どのような最期を迎えることができるかが重要である.
本稿では,がんのリハの中でも,緩和ケアの比重が高まる終末期でのリハに着目する.通常のリハが身体機能やADLを改善することを目標にするのに対し,がん終末期のリハがQOLの向上にどのようにして寄与できるのか,症例を中心に,がん患者の終末期に対する作業療法について概説する.
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