増刊号 脳卒中の作業療法―支援技術から他職種連携・制度の利用まで
第3章 支援技術Ⅱ 急性期から回復期の個別性を重視した介入(事例報告)
2 血管性認知症の生活支援
小川 敬之
1
,
小川 道子
2
Noriyuki Ogawa
1
,
Michiko Ogawa
2
1九州保健福祉大学
2介護老人保健施設 エクセルライフ
pp.678-682
発行日 2014年6月20日
Published Date 2014/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100559
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はじめに
2013年12月に英国でG 8認知症サミットが開催されたことは記憶に新しいが,認知症の問題は,疫学,経済学,人権等の側面から世界中で国策として取り組まれている問題である.世界レベルでは,現在100人に1人が認知症を発症しているとされ(「認知症:公衆衛生上に重要課題」(2012年):世界保健機関),日本でも昨年,65歳以上の高齢者の4人に1人(認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅱa以上+Mild Cognitive Impairment)は何らかの認知症対策が必要であると報告されたばかりである.
日本では2013年(平成25年)4月に「認知症施策推進5か年計画」,通称オレンジプランがスタートした.これは,認知症というと入院治療が当然だというこれまでの考えを改めて,住み慣れた自分の地域・空間でできるだけ生活していくことを支えていこうとする画期的な施策だといわれ,2025年の地域包括ケアシステム構築に向けて重要な施策の一つだといえる.しかしながら,そのシステムを構築するためには,さまざまな機関が認知症のことを理解し,共通認識をもちながら連携をとっていくことが重要である.認知症にはさまざまな病態像があり,その症候の理解とそれぞれに対応したケアの方法論や環境整備について共通理解が必要だということである.
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