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CIセラピーとは
Constraint-induced Movement Therapy(CIセラピー)は,1980年代に米国のTaubにより考案された,脳卒中後麻痺手の生活場面での使用を促すことを目的としたリハビリテーション・アプローチである.CIセラピーの原型は,2週間にわたり非麻痺手を拘束し,シェーピング(行動療法の原理に基づいた集中訓練)を含む麻痺手の集中練習を1日6時間行うだけのシンプルな治療法であった.その後,非麻痺手を使うことへの固執を改善する複数の行動療法を組み合わせた「トランスファー・パッケージ」が加えられ,現在では3つの構成要素と12の下位構成要素に整備され,それぞれの下位構成要素の実践要領についてシステマティックに定められている.
CIセラピーのプロトコールは,現在,Taubを中心にアラバマ大学CIセラピーリサーチグループ(UAB CIMT-RG)が管理しており,逐次内容の修正等が行われている.CIセラピーの対象は,脳卒中や脳性麻痺のほか,脳腫瘍,頭部外傷等,中枢神経疾患後の片麻痺とされている.しかし,最近では,失語症CIセラピー(ジェスチャー等,非言語的表出の拘束と言語的表出の集中練習)1),下肢CIセラピー(非麻痺側膝関節の固定による歩行練習)2),ジストニアCIセラピー(健常指の固定によるジストニア指の集中練習)3)等,CIセラピーという標榜が「健常な部分を拘束し,障害のある部分を集中してトレーニングすること」ととらえた文献も散見され,Taubらが定めるプロトコールを超越した内容で紹介されはじめた.本稿では中枢神経疾患後の片麻痺上肢を対象としたUAB CIMT-RGが定めるCIセラピーについて解説する.
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