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Key Questions
Q1:CI療法はどのようなアプローチか?
Q2:非麻痺手の拘束や課題指向型練習,transfer packageは,おのおのにどのようなエビデンスがあるのか?
Q3:対象者の意思を反映したCI療法をどのように展開したらよいか?
CI療法とは
CI療法(constraint-induced movement therapy)は,Taubら1,2)の行動神経学的な基礎研究に基づいている.Taubらは,脊髄後根を切断されたサルに対して,①非障害側前肢の使用を制限し,②望ましい行動目標に向けた小さなステップ(shaping)を伴う障害側前肢の体系的なトレーニング(課題指向型練習)を行うことで,障害肢の能力が改善したことを示した.彼らは,損傷後にサルが障害肢を使わなかった現象を“学習性不使用”と名づけ,リハによってこれを改善できる可能性を示した.これを糸口として,上記の2つに,③複数日にわたる麻痺手の集中的なトレーニング,ならびに④日記を記す等の行動技法(transfer packageと呼ばれる)を加え,脳卒中患者に適用したのがCI療法の原法3〜6)である.その後,CI療法の効果を検証したランダム化比較試験(以下,RCT)によって次々に効果が示された7〜11).また,最近のAmerican Heart Association(AHA)/American Stroke Association(ASA)ガイドライン12)や本邦の「脳卒中治療ガイドライン」13)では,CI療法が効果的な脳卒中上肢リハの一つとして推奨されている.
CI療法は,身近にある物品や道具を用いて行えるため,特殊な機器を必要とせず,アプローチの場所を選ばないメリットがある.また,神経筋電気刺激や非侵襲的脳刺激,ロボティックス等の工学機器を併用することで,CI療法との相補的な作用を期待できる.一方で,物品の把持や操作を求めるアプローチであるため,手指の随意運動が乏しい重度の上肢麻痺例には適用しづらい.また,長時間の練習や行動技法を提供する人手が必要なこともデメリットである.
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