第47回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/鹿児島 《シンポジウム》片麻痺上肢への革新的治療法―座長/才藤 栄一・生駒 一憲
CI療法の理論と実際
道免 和久
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1兵庫医科大学リハビリテーション医学教室
pp.184-188
発行日 2011年3月18日
Published Date 2011/3/18
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はじめに
脳は固定された電気配線ではなく,シナプス可塑性をもってダイナミックに変化する神経回路であることが近年の脳科学で明らかになっている.脳の可塑性をはじめとする脳科学の知見をリハビリテーション(以下,リハ)に応用した治療法を“ニューロリハビリテーション”と筆者は定義しているが,このニューロリハのうち最もエビデンスが確立し,世界的に実施されている治療がConstraint-induced movement therapy(以下CI療法)である.
片麻痺のCI療法1)では,非麻痺側上肢を三角巾やミトンなどで拘束し,麻痺側上肢を強制的に使わざるをえない状況を作り出して,難易度をきめ細かに調整した段階的訓練項目(shaping項目という)を短期集中的に実施する.CI療法の効果のメカニズムとして,使用依存性脳可塑性use-dependent plasticity(UDP)またはuse-dependent reorganization2)が考えられている.
ニューロリハの最新のトピックとして紹介されることが多いCI療法であるが,すでに四半世紀以上の歴史があり,数多くのRandomized Controlled Trial3~6)によりその効果は実証済みである.また,上肢麻痺の治療に関するメタアナリシス7)でも,CI療法は最も効果が高いだけでなく,研究数・症例数ともに多く,しかも効果のばらつきは小さい,という特徴が示されている.
CI療法は,特別の機器を必要としないので,リハ科医と作業療法士がいればどこの施設でもすぐに実施可能である.このような効果的な治療は全国のリハ施設で実施されることが望ましい.
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