特集 OTの臨床実践に役立つ理論と技術―概念から各種応用まで
第2章:中枢神経系に関するもの
1.ボバースコンセプト
山本 伸一
1
1山梨リハビリテーション病院
pp.624-631
発行日 2013年6月20日
Published Date 2013/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100167
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はじめに
近年,日本においてボバースコンセプトの基礎講習会(成人)は,全国の10カ所以上で開催されている(これまでに累計約3,000人のセラピストを輩出).OTによる受講も増加し,約半数を占めるコースもある(1コースの受講生数14~24名).
ボバースコンセプトは,世界では半世紀以上前からリハの現場で活用されており,これは曲げることのできない現実である.なぜ,この長い年月においてセラピストはボバースコンセプトを選択し続けたのであろうか.特にヨーロッパの理学療法においては,対象者へ介入するに際し,主にボバースコンセプトを用いるという国がほとんどである.脳は「ブラックボックス」であるという固定概念もあるが,先達のボバースセラピストたちはそれを鵜呑みにしなかった.今もって未開の臓器である「脳」.しかし,ボバースセラピストは対象者への治療の可能性はあると信じ,また結果も残してきた.だからこそ,臨床で活用され続けたのだと感じている.
最近では脳科学も着々と発展し,多くの手技が生まれている.理論と実践の整合が進んでいるといっていいだろう.本稿では,ボバースコンセプトの歴史,その考え方と最近のボバースコースの紹介や作業療法との整合,今後の展望を述べる.
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