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Key Questions
Q1:社会人の基礎とは?
Q2:作業療法学生の現状とは?
Q3:情意領域の育成とは?
はじめに
社会人として,OTとして,適切な態度行動とは,どのようなものをいうのだろうか? また,それらはどのように備わるものなのだろうか? 振り返ってみても特徴的な記憶はあまり残っていないが,学生時代のことを思い出すと,社会人が多くを占める養成校に入学し,学生の中では少数派である卒業したての若者組であった筆者は,教員からというよりは,学生の社会経験のある先輩たちから,さまざまな助言,叱咤激励を受けて育った気がする.職場に入ってからも同様である.新入職員として働く中で,職場の先輩や,他部門の方々,患者やその家族,多くの関わる人々の中で,善悪を学び,時には失敗から悔み,落胆し,その中で自分を振り返ることを通じて態度や行動を変化させてきたのではないかと考える.つまり,関わる社会が人を育てるのだと思う.
情意領域とは,Bloom(1956)が提唱した教育目標分類による「認知領域」,「情意領域」,「精神運動領域」の一つである1).保健医療専門職において,この教育分類に基づいた実践の報告は近年散見される2~5)が,作業療法教育においては,いまだ少ないのが現状6,7)である.情意領域とは,仕事に対する熱意,学習に対する態度,挨拶やマナー等の態度であり,作業療法教育の場面に置き換えれば,学内教育における授業や課題への取り組み態度,臨床実習におけるクライエントや指導者とのコミュニケーション,守秘義務の遂行,期限・約束の厳守,報告・連絡・相談の遂行等が挙げられる.
作業療法教育における目的は,学内において基本的な学習を積み重ね,臨床実習へ移行し,さらに社会人として,保健医療福祉の健康関連専門職として,クライエントや他職腫,他機関と協働的に支援できる人材を育成することである.
しかし一方で,ゆとり教育,作業療法養成校の増加に伴い学生の質を確保することが難しいという現状があり,この情意領域の教育に苦慮しているとの声を聞くことがある.本稿では,情意領域の教育に関しての一助となることを目的に,現代の高等教育学生への取り組みの紹介と作業療法教育の現場で教員たちが経験している学生の現状とその対策,さらに本学における授業の取り組みの一例について紹介したいと考える.
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