Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Key Questions
Q1:臨床実習の質の向上を図る課題は?
Q2:臨床実習指導者の新たな研修制度(システム)と学ぶべきことは?
Q3:臨床実習の質の向上に向けて今自分が取り組めることは?
はじめに
使わない知識は忘れていくもので,臨床実習指導において学生に説明をしていて記憶が曖昧になる時がある.“Teaching is learning twice over”といわれるように,学生からの質問や説明等で自己学習が高まる.臨床実習指導に際して指導者側も学習者である一方で,学生には科学知や臨床知,臨床推論等をしっかり伝えていかなければならない.その臨床実習は作業療法の専門教育において非常に重要な位置を占めるが,臨床に携わるOTにとっては,臨床実践に生かせる治療技術等の研修が優先され,通常臨床実習指導の研修は優先順位が下がる.しかし臨床実習指導が精神注入論で済むのは昔の話であるし,竹田1)が指摘するように「カンと経験」にのみ頼るのでは心許ない.作業療法への社会的ニーズや学生の変容に伴って指導者側も新たな学びを求められており,臨床実習指導者(以下SV)も学習者へ立ち返り謙虚に学ぶことが,より有意義な臨床実習をもたらす.
最近は臨床実習が多面的な要因(図1)の影響を受け,それらの課題解決なくして“変遷する社会的ニーズに応えられ,質を保証できる専門職教育の確立”には至れない.専門教育の質の向上を図るべくも,学力不足,実習における問題行動,内面的課題を抱えている学生が増加しつつあり,一方でSVの若年化や指導技術不足も相まって臨床実習指導に難渋し臨床実習の質の低下が危惧されている.その課題解決として診療参加型臨床実習(クリニカル・クラークシップ,以下CCS)8)や臨学共同教育システム9)等の実践報告もあるが,一方でSVの指導力や技術等を標準化する制度(システム)も欠かせない.
本稿では,①新たに始まる臨床実習の関する2つの制度(「臨床実習指導者研修制度」と「臨床実習指導施設認定制度」)の概要,②その研修内容との関連から臨床実習の質の向上につながるポイントについて私見を述べさせていただく.
Copyright © 2013, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.