特集 下肢静脈瘤に対する内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術
〔エディトリアル〕内視鏡下手術の下肢静脈瘤への応用の意義
松本 純夫
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1藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院外科
pp.291
発行日 2003年8月15日
Published Date 2003/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426900420
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内視鏡の臨床への応用は,3つの時期,あるいは3種類の応用形態に分類される.第1は,口あるいは肛門などの外界と交通する臓器,すなわち消化管へ挿入する内視鏡検査・治療である.第2は,元々は生体内に腔として存在するが,外界とは交通のない空間への応用,すなわち胸腔,腹腔ヘアクセスする内視鏡検査・治療である.第3は,本来は腔のない領域に空間を創出して検査・治療を行う内視鏡の応用領域である.
本号で特集された「下肢静脈瘤に対する内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術」は,この第3の領域に入る.下腿に静脈うっ滞性潰瘍を伴う静脈瘤に対する筋膜下不全穿通枝遮断を目的として,われわれの教室でも昭和の終わりまではLinton手術が施行されてきた.しかし,長い皮膚切開の創縁に壊死が生じ,治癒が遷延することが多いことが克服できない問題であり,筆者も術式に疑問を感じていた.病的皮膚に直接メスを入れることが適当でないことはわかっていたが,替わるべきアプローチがなかったともいえる.
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