特集 透析診療のすべて
Part 2 透析管理の基本と原則
【コラム④】透析患者の便通管理—CKD合併症の改善にもつながる便秘の治療
間瀬 かおり
1
,
山縣 邦弘
1
Kaori MASE
1
,
Kunihiro YAMAGATA
1
1筑波大学医学医療系 臨床医学域 腎臓内科学
pp.392-397
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901142
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透析患者では,さまざまな胃腸症状がみられる。Zuvelaらによる30の研究,合計5,161人の透析患者を対象としたシステマチックレビュー1)では,便秘,消化不良,腹痛,逆流症が頻度の高い症状であると述べられている。なかでも便秘は,血液透析(HD)患者の1.6〜71.7%,腹膜透析(PD)患者の14.2〜90.3%にみられる最も頻度の高い病態である。便秘は,QOLに悪影響を及ぼし,社会的・経済的な負担を強いることや,生命予後にも関連することが明らかにされている2)。
近年,腸内細菌叢に関する研究が進み,その変化が慢性腎臓病や心血管疾患の病因として中心的な役割を果たすことが明らかにされ3),「腸-腎-心連関」4)として注目されている。また,透析患者の便秘は,虚血性腸炎,憩室炎,腸管穿孔など急性腹症の原因となり,適切な治療が行われなければ不幸な転帰につながることもまれではなく,対処すべき重要な病態であると考えられる。
本稿では,透析患者の便通異常,特に便秘について概説する。
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