増刊号 一線診療のための臨床検査
第I章 総論―臨床編
4. 消化器疾患の検査
2)便通異常(下痢・便秘)
中嶋 均
1
,
増田 剛太
2
1東京都立駒込病院消化器内科
2前 東京都立北療育医療センター
pp.1045-1049
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100226
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I. 下 痢
原因と病態
1 . 定 義
便通には個人差が大きいためその定義は難しいが,臨床的には個人の通常の回数を超えた排便回数または便が液状になることと受け止められており,米国では毎日の便重量が250gを超える場合を下痢とすることでコンセンサスが得られている.わが国では明確な規定がないため,ほぼこの定義を参考にすることになるが,便重量については人種・体格的な相違を考慮して少な目に考えておく.また,慢性下痢とは4週間以上にわたり症状が持続するものとされている1).
2 . 発生機序(表1)
1) 浸透圧性下痢
浸透圧性下痢は,低吸収性あるいは非吸収性溶解物が過剰に存在し,そのために腸管腔内に水分の貯留が起こるために生ずる.量の増大した便は水と非吸収性溶解物とから成り立っている.
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