連載 病棟医療革命
第7回❶千葉大学編|遠隔コミュニケーションシステムを活用した教育方略事例:—心理的安全性,反転授業の観点から
鋪野 紀好
1,2
1千葉大学大学院医学研究院 地域医療教育学
2千葉大学医学部附属病院 総合診療科
pp.766-769
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901087
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テレビ会議システムを用いた遠隔カンファレンス(teleconference)
従来の「カンファレンス」といえば,病院のカンファレンスルームの一角で,医療者が集まり実施されているというイメージであろう。またカンファレンスといっても,新入院患者の基本情報を共有するもの,入院中の患者の解決すべき問題点にフォーカスするもの,退院後の医療サービスについて検討するものなど,多様な目的がある。
筆者の所属する千葉大学医学部附属病院総合診療科では,臨床推論の思考プロセスを研鑽するためのカンファレンスが定期的に開催されている。臨床推論のエキスパートを司会に据え,実際に症例を経験した専攻医がケースプレゼンテーターとして,患者の問診票に記載された主訴,開かれた質問から得られた現病歴など,実際の診療の追体験を共有する形で参加者に情報が提示される。カンファレンスの参加者は,実際にその場で診療していることをイメージし,その都度どんな鑑別疾患を考慮し,次にどのような病歴情報を収集するのかを考え,学生から指導医までその思考プロセスを言語化することで進んでいく。病歴聴取プリミティブではあるが,医療者のコアともいえる能力であり,そこを厳格にトレーニングすることができるカンファレンスには,学内の医学生,初期臨床研修医,専攻医,指導医にとどまらず,学外施設からの参加希望者があとを絶たない。
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