連載 病棟医療革命
第6回 ミシガン大学編|ミシガンからこんにちは—究極のtelemedicineとは,究極の患者協働のことだ!
和足 孝之
1,2
1Medicine Service, VA Ann Arbor Healthcare System
2Department of Medicine, Michigan University Medical School
pp.762-765
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901086
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理想とは異なった?現実
本連載監修者の小坂氏とは,患者安全や医療の質に関する領域で一緒に仕事をすることが多く,共同研究者でもあり,同志だ。故に同氏からの「ミシガン大学のtelemedicineで最もすごいところを執筆してくれ」との依頼を断れなかった。
最初に断ろうと思った理由としては,自分が思い描いていた米国に対する理想と,この目で見た医療現場との乖離が大きかったためだ。筆者は,米国の医療現場は,患者のために役立つ最先端のハイテクツールをもっと駆使しまくっていると信じて疑わなかった。しかし現在,hospital medicineを学ぶために滞在中のVA Ann Arbor Healthcare System(退役軍人病院)(図1)は妙にアナログなところがあり,例えば,いまだにポケットベルと固定電話がレジデント,アテンディング,病棟との連絡ツールである*1。ミシガン大学本院とVA病院でしか現場を知らないため,米国の医療全体として一般化はできないが,こんなものか…とも思ってしまった。ちなみにVAは米国最大の公的系列病院であり,Sanjay Saint先生率いる当院は全米有数の高い医療レベルを誇る。また,ミシガン大学はWorld University Rankingsでも23位であり,米国が誇る公立大学トップスクールの1つだ。その経済資本が乏しいわけではまったくない*2。
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