- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
令和2年より、新型コロナウイルス感染症の世界的なパンデミックにみまわれ、感染予防が社会的現象となり、看護に限らず教育の現場では、感染予防と教育の質の担保のはざまで、教員は試行錯誤した状況であったと感じる。遠隔で授業を行う際に、ソーシャルメディアを盛んに活用する文化をもつ若者への指導にあたっては、人とかかわる看護を体験的に学ぶ実習や、体験的に学ぶことをイメージしやすい講義を行うことが重要であるといえる。
新型コロナウイルスへの感染予防対策として、ICTを使用した遠隔授業を行う大学が急増したものの、学校で使用されているICTメディアはその多くが限定的であった。その背景にはセキュリティ面や費用面での課題があり、遠隔講義にシフトできる有料ソフトウェアの導入、関連システムの整備にまでは至っていない状況であった。令和2年9月の「大学等における本年度後期等の授業の実施と新型コロナウイルス感染症の感染防止対策について(周知)」1)によると、855校の大学を対象とした「後期の授業の実施方針等に関する調査結果」において、遠隔授業の質の確保のために留意している事項として約9割(87.0%)の学校が授業における双方向性の確保と回答している。これは、一方的映像配信による学生への情報開示といった授業ではなく、オンデマンドやライブで行う授業で対面同様の双方向性を確保することや、課題を確認して学生にフィードバックすることによりインタラクティブな状況を確保することに努めているものと推測される。また、約7割(68.4%)の学校がICTの使用に関する研修の実施等による円滑な授業進行の確保に留意していると回答していた。
今回、筆者らは感染予防対策の一環でICTを活用した遠隔授業を試み、新たな方略に挑戦した。本報告が双方向性を重視した遠隔授業方略を考える一助となれば幸いである。
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.