特集 心不全
Part 3:ICU,病棟での心不全管理
【コラム⑪】心室内同期不全(dyssynchrony)と心臓再同期療法(CRT)—「レスポンダー」となるCRT適応例とは?
牧原 優
1
Yu MAKIHARA
1
1東京ベイ・浦安市川医療センター 循環器内科
pp.1038-1048
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900632
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薬物療法が進歩し,心不全の予後は改善したものの,薬物治療抵抗性の心不全は今も存在している。このような心不全ではしばしば伝導障害を合併しており,同期不全を伴うことでさらに心臓リモデリングが進み,心不全をより難治性のものとしてしまう。心臓再同期療法(CRT*1)は,右室とともに,冠静脈を介して左室にもリードを配し,右室と左室から心室を刺激すること(両室ペーシング)で同期不全の改善を目指す,心不全の非薬物療法である(図1)。
QRS幅延長のある中等症〜重症の左室収縮不全を伴う心不全(HFrEF*2)においてその有用性が示されており,現在では,より軽症の心不全や左室収縮能低下を伴う徐脈性不整脈に対しても,適応が広がっている。一方でCRTにも治療効果の乏しい,いわゆるノンレスポンダーが存在し,適切な症例選択が課題となっている。
本稿では,CRTの背景にある心不全病態,エビデンス,そして現在のガイドラインに基づいた適応について概説する。
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