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心臓再同期療法(CRT)と心エコー法
田渕 晴名
1
1東北厚生年金病院循環器センター
pp.133-139
発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103059
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心室内伝導障害が存在すると,電気興奮のタイミングが心筋の各部位で異なってくるため,心室内での収縮タイミングがずれてしまう現象〔dyssynchrony(同期不全)〕を引き起こす.左室収縮能が良好な症例ではdyssynchronyが存在しても心不全徴候をきたさず臨床的に問題となることは少ない.しかし,左室収縮能が低下している慢性心不全例ではdyssynchronyにより心不全をさらに悪化させてしまう.心臓再同期療法(cardiac resynchronization therapy,CRT)はdyssynchronyを改善させる臨床的に有用な治療法として施行されている.元来,心電図上左脚ブロックを有する低心機能例が適応であるが,左脚ブロックを有する低心機能例でもCRT無効(non responder)例が存在する.また,逆に右脚ブロック例やQRS幅130ms未満の脚ブロックを有さない例(narrow QRS)でもCRT有効(responder)例が存在する.これは,電気生理学的な収縮タイミングのずれと機械的な収縮タイミングのずれ(mechanical dyssynchrony)が必ずしも一致しない可能性を示唆しており,mechanical dyssynchronyをいかに評価するかが重要と考えられている.mechanical dyssynchrony評価のmodalityの一つとして心エコー検査が存在する.
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