特集 ICUで遭遇する血液疾患
Part 2 血液内科のクリティカルシンドローム
4.造血幹細胞移植に伴う重症合併症(感染症を除く)
4-1.造血幹細胞移植に伴う移植後合併症—時期により注意すべき合併症は異なる
杉田 純一
1
Junichi SUGITA
1
1北海道大学病院 血液内科
pp.375-382
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200170
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造血幹細胞移植患者は,さまざまな合併症のために集中治療管理となる場合がある。本稿では,まず最初に近年多様化する造血幹細胞移植の基本事項について述べ,次に移植後の時期に分けて出現しやすい合併症やその病態を述べる。最後に,造血幹細胞移植後に集中治療管理を要した患者の予後について述べる。
Summary
●造血幹細胞移植は近年多様化しており,移植前処置強度,ドナー選択,GVHD予防法などの移植の全体像を把握しておくことが重要である。
●移植後の時期により好発する合併症は異なっており,特に移植前処置から生着前後の時期は敗血症,多臓器不全を合併することが多く,集中治療管理を要する危険性が高い時期である。
●造血幹細胞移植後に集中治療管理を要した患者の予後は不良であるが,一部の症例では長期生存が望めるのも事実であり,血液内科医,集中治療医の両者が十分に連携をとりながら集中治療管理を行う必要がある。
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