造血幹細胞移植の多様性に迫る 質の高い治癒を目指したアプローチ
造血幹細胞移植後合併症へのアプローチ 造血幹細胞移植における呼吸器合併症
川畑 雅照
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1国家公務員共済組合連合会虎の門病院分院 呼吸器科
キーワード:
移植片対宿主病
,
Steroids
,
気道疾患
,
胸水
,
呼吸機能検査
,
細気管支炎-閉塞性
,
術後合併症
,
肺水腫
,
免疫能
,
免疫抑制剤
,
吸入投与
,
造血幹細胞移植
,
特発性器質化肺炎
,
肺出血
,
胸部CT
Keyword:
Administration, Inhalation
,
Bronchiolitis Obliterans
,
Graft vs Host Disease
,
Immunocompetence
,
Immunosuppressive Agents
,
Postoperative Complications
,
Pulmonary Edema
,
Respiratory Tract Diseases
,
Pleural Effusion
,
Steroids
,
Respiratory Function Tests
,
Hematopoietic Stem Cell Transplantation
,
Cryptogenic Organizing Pneumonia
pp.289-296
発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009299258
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造血幹細胞移植における呼吸器合併症は、感染性と非感染性に大別され、移植後の免役能の回復過程により病像が大きく異なる。びまん性肺胞出血は、早期に発症し予後不良となりやすいが、最近、活性型第VIIa因子製剤の効果が報告されている。peri-engraftment respiratory distress syndrome(PERDS)は、骨髄生着時の免疫反応により肺水腫や胸水を認めるもので、治療反応性は良好である。特発性肺炎症候群は、予後不良の合併症だが、最近TNF-α阻害薬の有用性が注目されている。閉塞性細気管支炎は、慢性GVHDの関与する晩期合併症で、定期的な肺機能検査や呼気CTでのmosaic appearanceが診断に有用で、治療にはステロイドや免疫抑制薬のほか、マクロライド長期療法や吸入ステロイドも試みられている。BOOPは、比較的まれな合併症で発症時期も一定せず診断が困難なこともあるが、ステロイドが奏効しやすい。
©Nankodo Co., Ltd., 2009