特集 ICUで遭遇する血液疾患
Part 2 血液内科のクリティカルシンドローム
4.造血幹細胞移植に伴う重症合併症(感染症を除く)
4-2.造血幹細胞移植に伴う移植片対宿主病—免疫抑制剤の増減など慎重な管理が必要
近藤 英生
1
Eisei KONDO
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 総合内科学
pp.383-389
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200171
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移植片対宿主病graft-versus-host disease(GVHD)は,ドナー由来の免疫担当細胞がレシピエントの組織を非自己として攻撃する免疫反応によって引き起こされる症状の総称であり,同種造血幹細胞移植に伴う代表的な合併症である。免疫抑制剤など支持療法の進歩にもかかわらず,いまだGVHDの完全なコントロールは難しく,重症例では時に致死的となる。ICU管理が必要となる同種造血幹細胞移植患者ではGVHDを合併していることも多く,免疫抑制剤の増減など,GVHD管理の見極めが治療のうえで常に必要となる。本稿では,急性GVHD,慢性GVHDの免疫学的機序,診断および治療法について概説する。
Summary
●同種造血幹細胞移植では,重篤な合併症を伴うことが少なくなく,時にICU管理が必要となる。
●重篤な合併症の治療に加え,GVHD未発症患者では予防継続が,GVHD発症患者では治療が必要となる。しかし,ステロイドや免疫抑制剤の増量は,感染や原病再発のリスクを高める可能性があるため,慎重な管理が必要である。
●同種造血幹細胞移植後のICU入室患者において,GVHDが予後因子となるかは,controversialである。
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