特集 PCAS
Part 3 心拍再開後の治療
2.PCASにおける体温管理療法の実際—具体的な体温管理の方法にエビデンスはあるか
福田 龍将
1
Tatsuma FUKUDA
1
1東京大学大学院医学系研究科 救急医学
pp.697-705
発行日 2014年10月1日
Published Date 2014/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200107
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
心停止後症候群post cardiac arrest syndrome(PCAS)に対して,体温管理療法は有用か。有用であるとすれば,低体温療法が有用であるのか,あるいは,常温の維持が重要であるのか,もしくは高体温さえ回避すれば十分であるのか。また,どのような症例に対して体温管理療法が適応となるのか。本来,これらの命題への回答なしに,体温管理療法の実際を語る意味はないのかもしれない。しかし,これらの解説は他稿に譲ることとし,本稿では体温管理療法が有用であるとの前提に立ち,これまで行われてきた種々の研究をもとに,体温管理(主に低体温療法)の実践的方法について検討したい。
Summary
●体温管理の具体的手法について検討した研究は少ない。
●低体温療法の導入時期や目標体温到達までの時間を早めても,予後は改善しない可能性がある。
●ただし,プレホスピタルでの自己心拍再開前(心停止中)からの低体温療法導入に関しては,予後改善の可能性が残されている。
●各種デバイスには一長一短がある。複数の冷却方法を組み合わせ,各施設の実情に合った方法を選べばよい。
●発熱は回避したほうがよさそうであるが,心停止後いつまで体温管理を継続すべきかについてはわかっていない。
Copyright © 2014, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.