特集 PCAS
Part 3 心拍再開後の治療
【コラム】心拍再開後の血糖管理に関するエビデンス
内御堂 亮
1
,
藤谷 茂樹
2,3
Ryo UCHIMIDO
1
,
Shigeki FUJITANI
2,3
1東京ベイ・浦安市川医療センター 救急科
2東京ベイ・浦安市川医療センター
3聖マリアンナ医科大学 救急医学
pp.734-737
発行日 2014年10月1日
Published Date 2014/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200111
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
自己心拍再開return of spontaneous circulation(ROSC)後高血糖と死亡や神経学的転帰不良との間に有意な関連があることは,さまざまな観察研究で示されているが,ROSC後ケアにおける血糖管理について,目標となる血糖値範囲を具体的な数値で提示できた無作為化比較試験(RCT)は現在のところはない。ただし,ICU入室患者に対する高血糖の是正と低血糖の回避が,患者予後を改善する可能性が数多くの文献1〜9)で示されており,各ガイドラインでは,それぞれにROSC後ケアにおける血糖コントロールを推奨している。
また,近年では,高血糖や低血糖だけでなく,血糖値の変動そのものがROSC後の患者転帰と関連があることを示す観察研究も発表されている。
本稿では,第一にROSC後高血糖と死亡や神経学的転帰不良との関連について,第二にROSC後ケアにおける目標とすべき血糖値範囲について概説し,最後に血糖値変動と患者転帰との関連についても触れたい。
Summary
● ROSC後の高血糖と死亡や神経学的転帰不良との間には有意な関連があることが,数多くの文献で示されている。
● ROSC後ケアにおいて目標となる血糖値範囲を具体的に示した無作為化比較試験やメタ解析はないが,ICU入室患者を対象とした研究では,高血糖や低血糖を避けることにより患者転帰が改善することが明らかになってきており,各ガイドラインでもROSC後ケアにおける血糖コントロールが推奨されている。
● 血糖値の変動と死亡や神経学的転帰不良との間に有意な関連がある可能性が示唆されてきている。
Copyright © 2014, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.