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1950年代末から始まる心停止に対する蘇生治療1)は,現在のものと基本的に同じであり,過去30年間の成績にも大きな改善は認められていない2)。それ故,心停止例に対する自己心拍再開return of spontaneous circulation(ROSC)までの情報による予後予測は,費用対効果と倫理的側面から蘇生治療を継続すべきかどうかの判断や,入院後治療の効果判定のための分類法として活用できると考えられる。換言すれば,蘇生中止や体外循環などの高価な蘇生治療の適応を判断するための目安としての役割があると思われる。
本稿では,心停止例に対する予後予測に関して,主に自己心拍が再開,持続する前の因子から,どの程度予測可能かを概説したい。そこで「院外心停止と院内心停止」「小児と成人」の違いにより,予測因子に対するとらえ方が異なるため,本稿では,成人院外心停止,成人院内心停止,小児心停止に分けて論じたい。
Summary
●地域ごとの病院前救護体制の違いにより,成人院外心停止の予後予測因子は異なる。しかし,病院前の「自己心拍再開(ROSC)あり」と「除細動適応あり」の2因子は,多くの地域で予後予測因子である。
●本邦では,上記2因子に「目撃あり」を加えた3因子のすべてがない場合は,99%強の陽性的中率で,成人院外心停止の1か月後死亡を来院時点で予測できる。
●成人院内心停止の予後予測モデルには,既存疾患を主な因子としたGO-FARスコアやCARTモデルがある。
●小児院外心停止の予後に影響する因子として,除細動適応の有無,目撃の有無,バイスタンダーによる蘇生処置の有無,年齢が重要である。
●小児院内心停止の場合は,除細動適応の有無,蘇生時間,既存疾患が予後因子として重要である。
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