徹底分析シリーズ TAVI:カテーテル,そしてチームで治す大動脈弁狭窄症
TAVIの予後予測—術前,術中から長期予後をどう見据えるか
白井 伸一
1
Shinichi SHIRAI
1
1小倉記念病院 循環器内科
pp.446-450
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200235
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大動脈弁狭窄症は高齢者を中心に増加傾向にある。基本的には大動脈弁置換術が治療の中心となるが,高齢者であるが故の合併疾患ならびに全身状態のために,大動脈弁置換術が施行不可能な患者は過去においては経過観察するしかない時代であった。
2002年にこうした手術不能患者に対する経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)がAlan Cribierによって世に紹介された1)。そして現在,TAVIは世界中で過去に外科手術不能だった患者に対して施行され,良好な成績が報告されている2,3)。
日本でも治験4) が施行された後に2013年10月より保険償還され,手術不能あるいは高リスクと判断された患者に福音をもたらした。現在の日本において,TAVIは,大腿動脈から施行する経大腿アプローチと経心尖アプローチが認められているのみであるが,海外ではさらに経大動脈(direct aorta)アプローチ,鎖骨下動脈アプローチが施行されている。また,TAVIは冠動脈形成術などのほか治療法と同様に,経皮的治療であるが故の合併症が存在することも事実である。
さまざまなアプローチの違いやデバイスの特性はあるものの,本稿では,TAVIにおける予後ならびに予測因子を,今までに報告されたエビデンスをもとに述べる。
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