特集 Severe Sepsis & Septic Shock
【コラム】septic encephalopathy―病態生理と予後
畠山 淳司
1
,
武居 哲洋
1
Junji HATAKEYAMA
1
,
Tetsuhiro TAKEI
1
1横浜市立みなと赤十字病院 集中治療部
pp.442-446
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100673
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敗血症性脳症septic encephalopathyは,微生物の中枢神経系への侵入により引き起こされる脳炎とは異なり,感染による全身性炎症反応の結果として生じるびまん性脳機能障害である。近年は,敗血症関連脳症sepsis-associated encephalopathy1,2)や敗血症関連譫妄sepsis-associated delirium3)などとも呼ばれる。他の臓器不全に先行してみられることも多く,興奮,易刺激性による譫妄,見当識障害から昏睡までさまざまな症状を呈するものの,痙攣や巣症状を呈することはまれとされる。本稿では,敗血症性脳症にかかわる臨床研究を紹介しながらレビューしたい。
Summary
●敗血症性脳症は,感染による全身炎症反応の結果として生じるびまん性脳障害である。
●敗血症に伴って他の臓器不全に先行してみられることが多く,興奮,易刺激性から見当識障害,昏睡といったさまざまな症状を呈する。
●病態生理として,脳内の炎症惹起による神経伝達経路の異常,アポトーシス誘導以外にも,脳微小循環障害による虚血の関与も推定されている。
●脳症の発症と,重症度,死亡,生存後の長期認知機能障害との関連が推定されているが,その因果関係は明らかでない。
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