Japanese
English
特集 Encephalopathyの臨床
肝不全とEncephalopathy
Hepatic insufficiency and Encephalopathy
杉浦 光雄
1
,
阿部 秀一
1
,
三浦 健
1
,
市原 荘六
1
,
豊島 範夫
1
Mitsuo SUGIURA
1
1東京大学医学部第2外科教室
pp.1587-1597
発行日 1968年10月20日
Published Date 1968/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204711
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はじめに
急性肝炎の急激な経過,すなわち急性黄色肝萎縮症などの肝の急性かつ重篤な実質性病変とか肝硬変症,慢性肝炎,肝癌などにおこる急性増悪とか肝障害のある症例になんらかの侵襲が加わつて昏睡状態におち入ることはしばしば経験するところである.肝性昏睡は,意識障害とか痙攣とか基質的な精神障害とかによつて特徴づけられる症状である.このような症状は多くの異なつた原因によつて肝疾患を複雑にするが,もつとも多く肝性昏睡をみるのはLaennec肝硬変であり,次に多いのは急性ビールス性肝炎であるといわれている.肝性昏睡でみられる脳症状は肝疾患によつて特殊な型を呈するものではなく,尿毒症,肺循環障害でもみられるが,肝性昏睡に特有と考えられる症状もある.すなわち臨床症状のうち,肝性口臭は肝性昏睡に特徴的なものといわれる.
この論文では,主に外科で経験する肝性昏睡について種々の型,臨床症状,治療などについてその概略を述べる.
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