特集 Severe Sepsis & Septic Shock
8.抗菌化学療法―適切な抗菌薬をできるだけ早期に投与する
鈴木 克典
1
,
真弓 俊彦
2
Katsunori SUZUKI
1
,
Toshihiko MAYUMI
2
1産業医科大学病院 感染制御部
2産業医科大学 救急医学講座
pp.447-457
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100674
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日本で進む急速な高齢化,医療の高度化に伴って,敗血症発生率,死亡率は上昇の一途をたどっている。敗血症の根幹治療である,感染源コントロールと迅速な抗菌薬投与はSurviving Sepsis Campaign Guidelines(SSCG)でも常に強調されてきた。抗菌薬投与には,基本的なルールがあり,宿主(患者)の免疫状態,感染源の部位と病原体の特性などを考慮する必要がある。特に抗菌化学療法の思考過程は一見すると煩雑に思えるが,実はシンプルないくつかの原則で成り立っている。そこで本稿では,SSCG2012や日本版敗血症診療ガイドラインに準拠した敗血症認知後の初期段階で行う経験的治療での治療戦略,特に抗菌薬の併用療法を中心に述べる。
Summary
●敗血症に対する抗菌化学療法は「適切な」抗菌薬をできるだけ「早期に」投与することが重要である。
●敗血症に対する抗菌化学療法においても,感染巣,原因となる病原体の検索が重要である。
●敗血症診療に対する抗菌化学療法では,ダブルカバーも治療選択肢の1つである。
●敗血症に対する抗菌化学療法の併用療法にはさまざまな組合せがあるが,患者の全身状態,感染症のパラメータを評価し,併用の必要性について考えることが重要である。
●敗血症に対する抗菌化学療法における抗MRSA薬の併用は,重症患者など適応が限定される。
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