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これまでICUで行われてきたリハビリテーションの主な目的は,気道クリアランス,無気肺の改善,廃用症候群の予防・改善,日常生活活動の早期再獲得などであった。ICUにおける早期離床・運動療法を検証したメタ解析では,身体活動や健康関連QOLに対する効果に加え,人工呼吸器からの離脱を早め,譫妄を予防し,ICU滞在日数や在院日数の短縮に有効であることが報告された。さらに譫妄は死亡率と認知機能障害にも影響を及ぼすことが報告されており,譫妄の予防・改善の非薬物療法として早期離床・運動療法が推奨されている。
ICUにおける重症患者に対する早期離床・運動療法の重要性が認識されつつある一方で,ICUのルーチンワークとして定着していない施設が多いのも現状である。臨床現場では,リハビリテーションスタッフの勤務体制,診療報酬,集中治療や重症ケアに関する知識不足などの問題がその理由として指摘されている。
本稿では,ICUで行われているリハビリテーションの実際について示し,早期離床・運動療法の効果検証がどの程度進んでいるか,また具体的な介入方法について文献レビューを行う。
Summary
●ICUにおけるリハビリテーションの最初のルーチンワークは,アセスメントとゴール設定である。
●ICUにおけるリハビリテーションの主な構成は,ポジショニング,排痰,早期離床である。
●ICUにおける早期離床・運動療法の効果には,QOLの改善,身体機能の改善,四肢および呼吸筋力の改善に加え,譫妄の予防・改善,人工呼吸器からの早期離脱,ICUからの早期退室,早期退院が挙げられる。
●譫妄は死亡率を上げ,ICU滞在期間や入院期間を延長し,ICU退室後の認知機能障害に影響を及ぼす。譫妄予防・改善のためにICU患者の早期離床が推奨される。
●ABCDEバンドルは,患者をすみやかに人工呼吸器から離脱させ,早期離床・運動療法を開始・実践するための,エビデンスに基づく5ステップである。
●ABCDEバンドルのE:早期離床・運動療法early mobility and exerciseは,ICU-acquired deliriumやICU-acquired weaknessを予防・改善するため,早期離床・運動療法はICUのルーチンとして位置づけられることが望まれる。
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