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静脈カテーテルは入院患者の70%に留置され1~2),最も頻繁に使用されている医療デバイスである3~5)とされ,特に集中治療室(ICU)には,静脈カテーテル留置が必要不可欠な患者が多数いる。静脈カテーテルは末梢静脈カテーテルと中心静脈カテーテルに分けられるが,中心静脈カテーテルに関しては,合併症をはじめとする多くの研究報告6~8)がなされている一方,末梢静脈カテーテルに関しては,その安全性などはあまり注目されてこなかった9~14)。しかし最近では,中心静脈カテーテル管理の向上と相まって末梢静脈カテーテルにおける合併症も注目され,報告も数多くなされるようになり,ICUにおいても,末梢静脈カテーテルから目を離せない時代に突入した15~16)。
末梢静脈カテーテル留置は,医療行為において必要不可欠であることは揺るがない。しかし,日常茶飯事に行われる“ルーチン”な医療行為であるためか,多くの医療従事者はその危険性に関しては,あまり注目していないように思える。本稿では,これまでにあまり注目されることのなかった末梢静脈カテーテルに関して,最近の知見を織り交ぜながら,その“ルーチン”に焦点を当てる。そして,末梢静脈カテーテルの必要性をもう1度確認するために,中心静脈カテーテルと末梢静脈カテーテルの役割を見直し,ICUにおける末梢静脈カテーテルの適応および合併症について論じる。
Summary
●末梢静脈カテーテルにおけるカテーテル関連血流感染症や血栓性静脈炎も無視できない合併症である。
●適切に挿入され管理された末梢静脈カテーテルは72~96時間ごとに定期的に交換するのではなく,静脈炎などの臨床所見が出現した場合に交換する。
●クロルヘキシジン含有ドレッシング材はカテーテル感染リスクを減少させるが,接触性皮膚炎などの合併症も認められることからルーチンに使用しない。
●カテーテル挿入時の皮膚消毒薬は,ポビドンヨードよりもクロルヘキシジンが推奨される。CDCガイドラインなどで推奨される濃度よりも低い濃度である0.5%クロルヘキシジンアルコールでもカテーテル関連血流感染症予防には十分であると思われる。
●末梢静脈カテーテル挿入に際しても局所麻酔薬を使用する。
●末梢静脈カテーテルのロックは,ヘパリン生理食塩液ではなく生理食塩液で行うのが妥当である。
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