特集 ICUルーチン
第2章 ICUにおける検査・処置
12.抗凝固薬の使用方法―個々の症例ごとに血栓形成と出血のリスクを勘案し投与する
山田 悠史
1
,
藤谷 茂樹
2,3
Yuji YAMADA
1
,
Shigeki FUJITANI
2,3
1練馬光が丘病院 総合診療科
2東京ベイ・浦安市川医療センター
3聖マリアンナ医科大学 救急医学
pp.245-256
発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100650
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
ICUでは,深部静脈血栓症や心房細動に伴う心房内血栓症の予防を目的に,ヘパリンをはじめとする抗凝固療法が従来施行されてきた。近年,トロンビン阻害薬やXa阻害薬などの新規抗凝固薬が数多く登場し,内科領域ではワルファリンに代わる薬物として期待され,その処方量が徐々に増えつつある。
本稿では,従来のヘパリン・ワルファリンを主体とする抗凝固療法の意義と効果について述べたあと,新規抗凝固薬の現在のガイドラインにおける位置づけや可能性について述べたい。
Summary
●内科系患者のDVT予防では,ACCPのガイドラインが引用されていることが多いが,日本での薬物的治療でDVT予防の保険適用となっていない薬物も多く,今後,本邦のガイドラインが改訂される可能性がある。
●外科系患者のDVT予防や周術期の抗凝固療法については,外科系患者固有の血栓症危険因子,出血性合併症の危険性について,個々の症例で検討する必要がある。
●抗凝固療法の弊害として,出血性合併症に加えて,ヘパリン起因性血小板減少症やワルファリンによる皮膚壊死なども挙げられる。ワルファリンやヘパリン固有の副作用も頭にいれておく必要がある。
●近年使用可能となった新規抗凝固薬については,ワルファリンと比較すると,薬物や食物との相互作用が少なく使いやすい反面,中和の方法が確立されていない,用量設定の方法論が確立されていないなどの問題点もある。
Copyright © 2014, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.