Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
リハビリテーションの目的は改めて言うまでもなく,経済的,社会的に自立を得て,社会活動に参加することにあり,医学的,心理的,社会的に総合的リハビリテーションを行うことにより目標達成を図ることになるが,現在の厳しい低成長経済時代においては,社会で職業を得ることは障害者にとって極めて困難である.昭和54年,身体障害者の雇用法により幾分なりとも障害者の社会復帰率が向上したが,未だ不充分である.表1に示す労働省職業安定局の調査によると,不就労中の障害者は約130万人であるが,その不就労の理由は障害が重度のため,病気のため,高齢のため,3つの項目で全体の約80%,約106万人が仕事についていないことがわかる.このことは意欲の問題も含めて,体力的な自信のなさと考えられる.近年我が国の平均寿命の伸びは著しく,世界の1,2位の長寿国となった.また,障害者も医学の進歩にともない寿命が長くなっていることも事実である.産業事故,交通事故による重度外傷患者も救急救命医学の発達により生存率が高くなったが,反面重度の身障が出来ることも事実である.したがって健常者および身障者の長寿になったための老化現象,成人病が大きな社会問題になってきた.老化あるいは成人病が大きな社会問題になってきた.老化あるいは成人病が,障害者にどのようなかかわりを持つかは,医学的にも未解決な面も多く,とりあえず一般健常者の老化,成人病の予防と同じ立場で障害者の予防対策に取り組まねばならない.この点からいって,職に就くということは当然老化予防の必須の要因であるが,そういった予防対策としてのスポーツを含め,リハビリテーションと身障スポーツのかかわりについて考えてみたい.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.