特集 疼痛・興奮・譫妄
【コラム】抑制―その実施を正当化するエビデンスはあるのか
河野 真二
1
,
内野 滋彦
1
Shinji KAWANO
1
,
Shigehiko UCHINO
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科 集中治療部
pp.90-92
発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100623
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ICUで重症患者を管理する際,やむを得ず抑制を行う場合がある。一般的に抑制といった場合,薬物学的抑制chemical restraintと身体的抑制physical restraintが存在する。前者は薬物による鎮静であり,後者は身体的な拘束である。
本コラムでは,身体的抑制にフォーカスを当て,文献的な視点で考察する。
Summary
●身体的抑制は,生命維持に必要なデバイスの自己抜去を避けるべく使用されるが,国や地域によってその対応が異なり,倫理面での配慮が不可欠となっている。
●現時点では,身体的抑制を推奨するような明確な記載がされているガイドラインは存在しない。
●譫妄や興奮を抑えるために必要と考えられる身体的抑制は,譫妄発症に何らかの影響を与えそうである。
●予定外(不測の)抜管が懸念されるような興奮・譫妄状態の患者に対して行う身体的抑制では,患者の利益を最優先するべきである。
●鎮静薬を使用しない身体的抑制は心的外傷後ストレス障害(PTSD)のリスクになる可能性がある。
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