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ICUは昼夜問わず入退室があり,モニターのアラーム音が鳴り響き,医療従事者の声が飛び交う,24時間眠らない戦場である。重症患者を管理し治療する場であるからこそ当然のことであるが,そのような環境は患者にとっては良いことばかりではない。最近では,患者予後に対するICU環境の影響が注目されており,ICU環境が譫妄に与える影響に対する関心が高くなっている。
譫妄はdisease-induced syndrome1)といわれているように,患者自身に危険因子が認められることが多く,患者の基本因子や疾患因子が注目されてきた。現に,代表的な譫妄予測スコアリングは年齢や重症度,患者の全身状態などの患者自身の基本因子の多くが構成要素となっているが,患者を取り巻くICU環境は含まれていない2)。また,譫妄の予防や治療に関しても,主として薬物療法に関心が向き,ICU環境の影響は軽視されがちである。
本コラムでは,譫妄に対するICU環境の影響についてこれまでに報告されている文献を考察し,今後の方向性について吟味する。
Summary
●譫妄の発症にはICU環境因子が深くかかわっており,譫妄予防のためにICU環境を考慮する必要性がある。
●譫妄と夜間睡眠の質の関係性が示唆され,その因子にメラトニン分泌障害が関与している可能性がある。
●譫妄発症に関連するICU環境因子のなかでは,ICU内の音・自然光に対する介入と見当識形成が重要である。
●ICUにおいても日時が認識でき,訪問者がいる環境が重要であり,それらを意識したICU管理を考慮する必要がある。
●上記のICU環境因子に対する介入による譫妄予防効果は,まだまだ根拠が乏しい。
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