特集 急性呼吸不全
第2章 呼吸器疾患各論
10.びまん性肺胞出血―困難な診断・治療に対するエビデンスからの検討
永田 一真
1
,
富井 啓介
1
Kazuma NAGATA
1
,
Keisuke TOMII
1
1神戸市立医療センター中央市民病院 呼吸器内科
pp.867-878
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100597
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びまん性肺胞出血は肺胞腔内に血液が充満することによって起こるまれな病態であるが,発症すると呼吸状態の急速な悪化をきたし,重篤な状態に至ることが多い。しかし,一般的に急性呼吸不全の鑑別疾患としてびまん性肺胞出血が挙がることは少なく,また症状や画像所見が非特異的であることが多いため,診断がつけられていない場合が多いと思われる。また,びまん性肺胞出血と診断しても,原因検索,治療方針の決定が困難な場合もしばしば経験される。
本稿では,ICUにおいてびまん性肺胞出血を疑うべき病歴や所見,びまん性肺胞出血の病態生理と病理学的分類,診断,疾患別の治療について解説する。
Summary
●びまん性肺胞出血は症状と所見が非特異的であることが多く,診断に苦慮する場合が多い。
●1/3~1/2のケースでは喀血や血痰がみられないことがあり,注意を要する。
●診断には気管支肺胞洗浄(BAL)を用いて,徐々に濃くなる血性を示した場合に感染を除外することが重要である。
●びまん性肺胞出血の原因は多岐にわたり,非免疫学的な機序によって発症する例も多くみられる。
●病態によって治療の方針はまったく異なり,病態の診断なしに安易に治療を行うことは,状況が許すなら避けるべきである。
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