今月の主題 炎症性肺疾患へのアプローチ
診断のポイントと治療
免疫異常による疾患
びまん性肺出血
滝口 裕一
1
,
橋爪 一光
2
,
栗山 喬之
1
1千葉大学医学部・肺癌研究施設内科
2県西部浜松医療センター・呼吸器科
pp.268-269
発行日 1988年2月10日
Published Date 1988/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221533
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■概念と分類
びまん性肺出血(Diffuse pulmonary hemorrhage,以下DPHと略す)は,肺微小血管から肺胞腔内へびまん性に出血を生じ,急性呼吸不全を来す病態である.従って単一の疾患を示すものではなく,表に示すような種々の疾患に伴って認められる1).比較的稀な病態ではあるが重篤な経過をとるため,原疾患の予後を大きく左右することになる.発症機序の詳細は不明であるが,DPHの多くは糸球体病変を伴うことが特徴的なことから,alveolo-glomerular syndromeなる疾患概念として興味が持たれている.原疾患の分類は表に示したが,さらに病因論的にAlbeldaらのように抗糸球体基底膜抗体(以下ABMA)を伴うもの,免疫複合体(以下IC)を伴うもの,そのいずれでもないものに分類するのが鑑別診断に便利である2).
これら免疫学的疾患,血管炎としてのDPH以外にも,抗凝固療法中の合併症,DICなどの血液凝固異常,左心不全,レジオネラ肺炎,薬剤などでもDPHが認められることが報告されているが,本稿では割愛する.
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