特集 急性呼吸不全
第1章 呼吸器疾患総論
2.急性呼吸不全の疫学―ICUで遭遇しやすい原因疾患に焦点をあてて
岡本 賢太郎
1
,
若竹 春明
2
,
藤谷 茂樹
3
Kentaro OKAMOTO
1
,
Haruaki WAKATAKE
2
,
Shigeki FUJITANI
3
1東京ベイ・浦安市川医療センター 総合内科
2聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 救命救急センター
3東京ベイ・浦安市川医療センター/聖マリアンナ医科大学 救急医学
pp.705-717
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100581
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急性呼吸不全の疫学について解説することは,実は難解である。なぜなら,地域,母集団,免疫状態などにより,急性呼吸不全はさまざまな経過をたどり症状を呈するためである。本稿は,ICUで頻繁に遭遇する急性呼吸不全の原因疾患群の全体像を俯瞰し,鑑別疾患の一助となることを目的としている。疫学については冒頭のごとく分類し,文献的な考察を行い解説する。引用した文献は欧米のものが主体であるが,国内のものも各項の最後に掲載している。表中の疾患で頻度が高いもの,臨床的に重要なものに関しては*で示した。また,本稿で述べる疾患の多くは,本特集の後半部分の各論,既刊のIntensivist誌にて取り上げられているため,詳細はそれらを参照されたい。
Summary
●急性呼吸不全は,呼吸に関連する解剖学的部位(気道,肺胞,呼吸筋,血管)のどの部分が障害されても発生するため,原因疾患は多岐にわたる。
●ARDSには病態生理学的なARDSと定義上のARDSがあるため,治療を行ううえでは原因疾患の特定が重要となる。
●神経筋疾患の急性呼吸不全は,慢性呼吸不全の急性増悪と急速進行性の呼吸不全の2つの臨床経過をたどる。
●背景が異なる母集団では,急性呼吸不全で挙がる鑑別疾患が異なる。
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