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入門講座 意欲・自発性・やる気の評価と支援策
脳損傷後の「やる気のなさ」に焦点をあてて
Evaluations and supporting methods for initiative, motivation and willingness: Focus on“the lack of motivation”after brain damage
原 麻理子
1
,
前田 眞治
2
Mariko Hara
1
,
Masaharu Maeda
2
1社会医療法人財団白十字会白十字病院リハビリテーション部
2国際医療福祉大学大学院リハビリテーション学分野
1Department of Rehabilitation, Hakujyuuji Hospital
2Department of Rehabilitation, International University of Health and Welfare, Graduate School
キーワード:
やる気
,
意欲
,
発動性
,
脳卒中後うつ病(PSD)
,
アパシー(Apathy)
Keyword:
やる気
,
意欲
,
発動性
,
脳卒中後うつ病(PSD)
,
アパシー(Apathy)
pp.149-154
発行日 2013年2月10日
Published Date 2013/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110018
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はじめに
「リハビリテーションは二方向性の作業である.患者に対して一方向的に施される治療とは異なり,リハビリテーションでは患者本人が積極的な役割を果たす1).」外科的手術,投薬など疾患の治療は,一方向的に実施しても成し遂げることは可能だが,二方向性の作業であるリハビリテーションは,患者本人に主体性をもたせないと成功しない.しかしリハビリテーションの現場では,患者のリハビリテーションに対する「やる気のなさ」に遭遇し,セラピストが苦慮する機会は少なくない.意欲低下,発動性低下,脳卒中後うつ病(post-stroke depression:PSD),アパシー(Apathy),社会行動障害などは「やる気のなさ」を引き起こし,リハビリテーションの阻害因子となり得る.
Gainotti2)は,脳損傷後の情緒的,社会心理学的問題を引き起こす主な要因として以下の3つを挙げている.第1は神経学的要因で,情緒的,社会的行動の制御を司る特定の神経機構を乱すことによりこれらの問題を引き起こす.第2は心理学的要因で,これは障害に対峙する態度にかかわる.またこれは障害に対する気づきや障害が生活の質に与える影響への気づきからも起こる.第3の要因は患者の社会的ネットワークや社会活動に対する患者の機能障害の影響から生じる1,2).
本稿では「やる気のなさ」の問題を脳損傷による一次性の要因:神経学的(器質的)要因と二次性の要因:心理的要因に分け,その評価法と介入策について考えてみたい.
※表2「POMS 6つの気分尺度」は,権利者の意向等により冊子体のみの掲載になります.
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