Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
急性期医療における作業療法は,2002年4月より,発症後90日以内では早期加算が認められ,早期のADL(activities of daily living)加算も新設され,理学療法同様に大きな役割を担うことになった.また,脳卒中治療ガイドライン20041)では,十分なリスク管理のもと,早期に廃用症候群の予防,離床やADLの自立をめざし,リハビリテーションチームによる積極的な介入が強く勧められている.
このように脳卒中をはじめ作業療法が介入する時期は発症後早期に重点がおかれ,ADL獲得を目的とした環境整備を含むアプローチ,高次脳機能障害の有無や状態の把握,効率のよい介入内容の検討などが作業療法士に期待されている2,3).発症後早期より関わるこということは,全身状態が安定しない患者や意識障害の患者の割合が多くなることを意味し,全身管理と医学的監視の理由で病棟にて作業療法を施行することになる.
「ベッドサイドでの作業療法」に関しては現在の医療事情が要求しているほど急性期介入ではないものが多いが,1990年頃より散見されており4-6),最近では脳卒中ユニット(脳卒中病棟)での作業療法の有効性が報告されている7-9).米国作業療法士協会の協力による文献レビュープロジェクト10)によると,急性期を含めた15の作業療法に関する報告のうち,11(うち7つはRandomized Controlled Trial)の報告において,作業療法は社会参加やADL,IADL(instrumental ADL)の改善に有効であったとしている.実際,わが国で行われている急性期作業療法はADL獲得を目指したものが多く,内容として人間の基本的欲求であり介護負担の大きい食事や排泄,移乗への関わりが重視されている5,6,11,12).また,意識障害など意思表示が難しい患者への作業療法も有用としている13,14).
本稿では,患者の主体的なADL獲得に焦点をあてた作業療法の関わりを,安静度が高くベッド臥床が中心となる時期と,座位保持が許可され積極的な早期リハビリテーションが施行される時期に分けて示す.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.