特集 急性呼吸不全
第1章 呼吸器疾患総論
1.ベッドサイドで使える低酸素血症の呼吸病態生理学―呼吸不全診療で着目すべきポイント
則末 泰博
1
Yasuhiro NORISUE
1
1東京ベイ・浦安市川医療センター 呼吸器内科・集中治療科
pp.695-704
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100580
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呼吸生理学は臨床現場ではほとんど役に立たない,と思っている読者は多いのではないだろうか。確かに呼吸生理学は複雑であり,難解な概念,そして公式や図が多く存在する。基本となる低酸素血症の機序の分類でさえ「実際に臨床の場面で役に立つことは少なく,考えるだけ無駄」という意見をもつ人も少なからずいる。しかし,呼吸生理学の知識はICUのベッドサイドで確実に役に立つ。本稿では,臨床に役に立つ選りすぐりの低酸素血症の病態生理を,できるだけ頭に残る形で説明することを試みた。記憶に残るのは言葉と簡単な図であり,公式はすぐに忘れるため,公式は一切紹介せず,文章と簡単な図のみで解説した。
Summary
●診断名と低酸素血症の原因は一対一対応であることは少なく,ほとんどの場合,1つの疾患が複数の病態生理をもち合わせている。
●低酸素血症に最も大きく関与している病態生理を認識することで,最善の治療法を選択できることがある。
●ベッドサイドから得られるさまざまな情報から,低酸素血症の病態生理学的原因を推定することができる。
●PEEPはV/Qミスマッチを改善するために用いており,V/Qミスマッチの改善がPEEPによって得られない場合は酸素化が悪化することもある。
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