特集 神経集中治療
【コラム】日本における脳梗塞治療―日本発の薬物のエビデンス
津久田 純平
1
,
内藤 貴基
1
,
筒泉 貴彦
2
Junpei TSUKUDA
1
,
Takaki NAITO
1
,
Takahiko TSUTSUMI
2
1東京ベイ・浦安市川医療センター 集中治療科
2練馬光が丘病院 総合診療科
pp.574-578
発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100562
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
脳梗塞にかぎらず,さまざまな疾患のガイドラインが各国から発表されているが,欧米と本邦のガイドラインに相違があることに疑問を抱いた経験をおもちではないだろうか。欧米のガイドラインは大規模な無作為化比較試験(RCT)を根幹とし,そのデータの示す結果は重要な事実を私たちに伝える。これらの結果を日本人にそのまま当てはめることができるのかどうかが議論されることも多く,本邦の患者背景を考慮した独自のガイドラインが必要であることは,論を俟たない。本邦の脳梗塞ガイドライン1)では,世界標準の薬物が推奨されていると同時に,エダラボン,オザグレル,アルガトロバンという日本発祥の薬物も推奨されている(表1)。脳梗塞治療薬として欧米では承認されていないこれらの薬物に関して,使用すべきか否か,現場の医師の判断が求められている。本稿ではこれらの薬物について,作用機序や発売に至った経緯,欧米ガイドラインとの相違,文献的検証,さらには今後の展望などについて検討していきたい。
Summary
●本邦独自の脳梗塞治療薬としてエダラボン,オザグレル,アルガトロバンがある。
●米国のガイドラインではエダラボン,オザグレルは推奨されておらず,アルガトロバンの推奨度はclass Ⅱbである。
●本邦ではエダラボン使用で神経学的予後を改善させる可能性を示唆するデータがあるが,各国のガイドラインで標準治療薬とされるアスピリンは,これらの試験では併用されていない。
●オザグレルとアスピリン併用療法は,神経学的予後を改善させる可能性がある。
●アルガトロバンの適応病型については検討すべき余地がある。
Copyright © 2013, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.