- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1942年にCannon1)は,極めて迷信的な社会でタブーを犯した恐怖により死に至った症例を挙げ,強い精神的ストレスにより身体的な症状を生じる原因を,sympathico-adrenal systemが関与していると説明した。その後,さまざまな角度からストレス(精神的にも身体的にも)と心電図異常や心筋の組織学的な変化が報告され,交感神経系の過剰反応との関連が強く示唆されている2)。このような中枢神経系-交感神経系-心臓の制御関係に起因すると考えられる心臓の病態をstress-related cardiomyopathy syndrome3,4)と称することがある。これはさらに,以下の4つに分類される。
・強い精神的,肉体的なストレスに引き続く一過性の左室機能不全(たこつぼ型心筋症)
・頭蓋内出血,脳梗塞,頭部外傷に関連する左室機能不全
・重症内科疾患に伴う一過性の左室機能不全
・褐色細胞腫およびカテコールアミン投与における左室機能不全
後述するが明確な診断基準が存在しないため,これらは重複するところもある。本稿では上記のうち「たこつぼ型心筋症takotsubo cardiomyopathyあるいはtakotsubo-like cardiomyopathy」と「頭蓋内出血,脳梗塞,頭部外傷に関連する左室機能不全LV dysfunction associated with intracranial hemorrhage, ischemic stroke, and head trauma」に関して説明する。
Summary
●たこつぼ型心筋症は基本的にself-limitingな疾患である。
●たこつぼ型心筋症では,時に致死性不整脈,左室流出路閉塞による低血圧,左室内血栓などを伴うことがある。
●たこつぼ型心筋症の場合,抗凝固療法を行ったほうが無難であるが,背景疾患(くも膜下出血・脳出血)との兼ね合いである。
●くも膜下出血・脳出血などの管理中にモニターで不整脈を認めたら,12誘導心電図を確認したほうがよい。
Copyright © 2013, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.