特集 病棟管理
Part 1 病棟で働く医師が身につけるべき基本姿勢
【コラム②】病棟で働く医師のための時間管理—“時間の使い方はいのちの使い方”
内藤 貴基
1
Takaki NAITO
1
1聖マリアンナ医科大学 救急医学
pp.648-651
発行日 2020年12月1日
Published Date 2020/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900831
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時間管理はチャレンジングな課題である。医師は他の職種と比較しても抜きん出た長時間労働の実態が指摘されている1)。忙しい日々を“survive”するのに必死で,明日に残した仕事の不安なくベッドに入れた日を思い出せない医師も多いだろう。我が国で自殺を考える医師の割合が3.6%とも報告され,医師のバーンアウトの増加,充実感の喪失は由々しき問題である1〜3)。医師にはその適用が猶予されていた改正労働基準法の施行も2024年に迫っており,社会的にもその改善は待ったなしである。そんななか,時間管理の教育が医師の満足度を高め,バーンアウトを防ぐ可能性も示唆されており,キャリアの初期から時間管理に対する理解を深める必要性が指摘されている2)。
時間管理の手法はビジネス領域で考案されたものが多く,コンセプトは重要だが,臨床現場では実践しづらいのも事実である4)。医師の労働環境の特徴として,仕事の大半(病棟業務)はその日のうちに終わらせる必要があり,かつ突発的な仕事(病棟患者の発熱など)が多いため,勤務時間内における個人レベルでの時間管理は容易ではない。一方,勤務時間外の時間管理,さらには組織マネジメントとしての時間管理には大きな改善効果が期待される。
本稿では,実践的な方法として,「優先順位をつけた目標設定」「活動計画のたて方」「時間の浪費削減」の3つのテーマについてまとめた。時間の使い方は生き方そのものであり,万人にとって最善の方法などないが,“survive”に必死な病棟診療医が時間管理を考えるきっかけになれば幸いである*1。
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