特集 外傷
【コラム】外傷性心停止
伊志嶺 徹
1
,
松浦 謙二
1
Toru ISHIMINE
1
,
Kenji MATSUURA
1
1沖縄県立八重山病院 外科
pp.479-484
発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100317
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外傷性の心肺機能停止traumatic cardiopulmonary arrest(TCPA)の救命が非常に困難であることは周知の通りである。具体的な予後として,全体の生存率は2.2%,また生存例でも神経学的障害を認めないものはわずか0.8%にすぎないと報告されている1)。
また,TCPAの機序は,鈍的外傷,穿通性外傷の2つに分類されるが,鈍的外傷後と穿通性外傷後のTCPAの生存率はそれぞれ1.5%,1.9%,神経学的予後が良好な例は0.16%,1.4%などと報告されており,一般的には鈍的外傷によるTCPAの予後はさらに不良であると認識されている1)。
このようにTCPAは非常に予後不良であるが,本邦では明確な治療指針は示されていない。このコラムでは近年のTCPAに対する治療の考え方,本邦でのTCPAにおける治療の現状と予後についてまとめる。
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