バイタルサイン・28
心停止
道場 信孝
1
1ライフプランニングセンター研究教育部
pp.724-725
発行日 1982年7月1日
Published Date 1982/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919591
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心停止は,心臓の有効な収縮が停止した状態で,①心室細動,②心室無収縮,そして③電気機械解離(EM解離)の3つの機序があげられる(図1).EM解離は心電図上心臓の興奮が規則的に認められているにもかかわらず,血圧や脈が得られない状態である.当然呼吸も停止するのでバイタルサインは消失するが,CCUやICUでは中心静脈圧や動脈圧が同時にモニターされているので,この状態を正しくとらえることができる.EM解離の機序は不明であるが,急性心筋梗塞,急陛肺梗塞,心臓破裂による心タンポナーデ,狭心症,急性心筋虚血,乳頭筋断裂,出血,心肺バイパス後などに生じることが知られている.
病態生理からみて,大脳皮質の神経細胞は,’心停止後およそ3分で不可逆的な変化をきたす.これに対して角膜や瞳孔反射に関与する中枢は10分ぐらいの虚血に耐え,延髄の神経細胞は20分以上の虚血に耐えることができる.
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