特集 外傷
1.はじめに―集中治療医は日本の外傷診療を担う一翼である
松浦 謙二
1
Kenji MATSUURA
1
1沖縄県立八重山病院 外科
pp.455-456
発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100314
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「平成20年人口動態統計月報年計(概数)の概況」1)によると,日本人の死亡原因の順位のうち,不慮の事故は全年齢層の5番目であり,年間約38000人が死亡している。また,死亡1人に対して3倍の負傷者が永続的な障害を残しているほか,重傷者数は死亡者数の約10倍とされており2,3),本邦では現在,年間約40万人が重症外傷として各地域のICUに入室していることになる。また,不慮の事故による死亡は社会的に最も生産性の高い若年者層の死亡原因の第1位であり,医療経済・費用対効果の側面から,外科医のみならず急性期の診療を担当する集中治療医も,最低限の外傷診療の知識をもち合わせておく必要がある。
「怪我をしたから外科を受診する」「交通事故のため外科を受診した」というのは,一般国民には常識であろう。しかし,この常識が日本のかなりの地域では当てはまらないことを,読者諸兄はお気づきのことと思う。外傷を外科医以外が診療するという特殊な医療環境を理解してもらうためには,まず,日本における外傷医療の変遷を知っておく必要がある。
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