特集 外傷性てんかん
外傷性てんかんの発症と停止
中村 紀夫
1
1東京大学医学部脳神経外科
pp.11-14
発行日 1969年1月1日
Published Date 1969/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202489
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I.はじめに
外傷性てんかんに関しては,これまでに幾多の業績が積み重ねられてきた。それにもかかわらず未解決のことが多い。これを理解するためには外傷性てんかんの厳密な定義から出発しなければならない。1958年以来Walk—erが発表した外傷性てんかんの規準は,この疾患を統計的に,あるいは実験的にとりあつかううえで,はなはだ当を得ているので,われわれもこれに基づいて東大脳神経外科の症例を検討した。
Walkerの規準を要約すると,1)発作はまさしくてんかんである,2)外傷以前には痙攣を起こしていない,3)他に脳または全身疾患を持たぬ,4)外傷は脳損傷を起こしうるほどに強かった,5)最初のてんかん発作は外傷以来あまり経過していない時期に起こつた,6)てんかん型・EEG・脳損傷部位が一致している,ということになる。われわれも病歴からできるだけこれに一致する例をえらんで,外傷性てんかんの一群を作成した。ただし全例にEEGがとつてあつたわけではない。
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